昨年(2011年)、都立初の中高一貫校として卒業生を出した白鴎高等学校附属中学は初年度に東大合格者5名を輩出し、教育業界はいわゆる“白鴎ショック”に沸きました。
白鴎は今年も3人が東大に合格しましたが、白鴎に続いて今年初めて卒業生を出した小石川中等教育から4人、同じく桜修館中等教育と両国高等学校附属からそれぞれ3人の東大合格者が出るという快挙を成し遂げました。これがにわかに都立の中高一貫校の人気に拍車がかけているのでしょう。近年の倍率は軒並み高倍率で6~9倍ほどになります。リーマンショック以降の不況で学費の高い私立中学の志願者数が減っているのとは裏腹に格安な都立の中高一貫が人気を集めているという背景が考えられます。しかし、この高倍率とは裏腹に合格者の実に7%ほどが入学手続きを行っていない状況があります。しかも、入学辞退者はさらに増える可能性が高まっています。
じつは、種明かしをすれば、これは「国立中学や難関私立中との併願者が多数いて、彼らが合格辞退しているため。今や、都立の中高一貫校は、四谷大塚の偏差値60~65クラスの難関校志願者の併願校になっている。公立がこれだけの合格実績を上げたから、併願層のレベルはさらに上がる」という構造になっているからです。人気がなくなって辞退者が増えているというわけではなさそうです。